原発の燃料棒

燃料棒を冷やす作業が続いている。


なぜ燃料棒を冷やす必要があるのか?
なぜ燃料棒はそれほどまでに熱いのか?
非常に疑問を持っていた。


冷やす理由をテレビでは
「余熱」
と表現していたが、
一般に使う余熱の意味とは
どうやら違うようだ。


個人的になぜ冷やす必要があるのか
理由が分からなかった。
制御棒を入れたら
熱の産生が止まるのだと思っていた。
だから水が十分ある状態ならば
沸点以下の温度にすぐに下がり、
沸騰を続けるはずはない。


しかし冷やし続けなければならない理由が
ようやく分かった。


燃料棒はいつまでも熱を出し続けるらしい。
制御棒に中性子を全て奪われても
ウランは核分裂を続けるのだ。


制御棒は臨界(核爆発)を
防ぐためにあるというよりは
沸騰しすぎるのを防ぐためにある
ということのようだ。
そもそも原発が臨界になることなど
ないようだ。


あらゆる物質は半減期核分裂を起こし
熱を発生する。
しかしウランに中性子が飛び込むと
半減期を待たずして核分裂が起きる。
したがって短時間で大量の熱を発生させられる。


しかし制御棒により中性子を全て奪っても
燃料棒では自然な核分裂が起こり続ける。


したがって運転中よりは緩やかな温度上昇だが
冷たい水(沸点より低い温度の水)を
供給し続けなければいずれ沸騰してしまう。

現状の問題点

自動で冷やし続ける仕組みは備わっていたが、
予備電源が壊れていた。
そこで電源車などを用意したが
自動で冷やし続ける仕組みも壊れているようで
正常に動作しない。


やらなければいけないことは、
水を継続的に供給し、
温度を沸点以下で保つことだ。


人力で冷やし続けることは
ヒューマンエラーも起きるので
できるだけ避けたい。
自動冷却の仕組みを修理するのが目標だ。


しかし目先の問題として
燃料棒を完全に水没させないと
メルトダウンが起きてしまう。


なのでまずは人力で冷やす作業を
しなければならない。
とにかく注水しなければならないが
圧力の問題でなかなか注水できない。

圧力の問題

水に少しでも燃料棒が触れていれば
熱は伝導するので
沸点よりやや高い程度までしか上がらない。


ただし水が減っているということは
水が沸騰し蒸発しているのは間違いない。


沸騰すると水蒸気は
液体の1000倍の体積に膨らむ。
弁を開けて蒸気を逃がしているが、
急激な蒸発で逃げ切らず
気圧が上がり続けることもあるようだ。


原子炉圧力容器は100気圧ぐらいまでなら
ギリギリ耐えられるので
高気圧で爆発する心配はない。


しかし気圧が上がると沸点が上がる。
http://syllabus-pub.yz.yamagata-u.ac.jp/amenity/Knowledge/KnowledgeWeb.aspx?DSN=Electrochem&nKnowledgeID=2607
http://www.omlabo.com/tips/tip02.html
http://docsrv.godac.jp/MSV2_DATA/12/be94_04.pdf

100度 1.00気圧
110度 1.41気圧
120度 1.96気圧
130度 2.67気圧
140度 3.57気圧
150度 4.70気圧
180度 10気圧
312度 100気圧
374度 218気圧
沸騰しない 218気圧以上


沸点が蒸発しにくくなるので
空だきになるまでの時間は稼げる。
しかし水がそれだけエネルギーをため込むため、
冷やすのが困難になる。


よって大量の水で冷やすために、
消防のポンプで注入をしようとしているが
あまりにも気圧が高いと注入できない。
だいたい30気圧ぐらいで
注入が難しくなると思われる。


このような状況になると
弁から水蒸気がちょっと逃げて
ちょっと気圧が下がったくらいでは
ちょろちょろとしか水は入らない。
また沸点も下がるため
圧力容器内の水はさらに激しく沸騰する。
すると気圧はまた上がってしまう。


よってちょろちょろ水は入るが、
ある一定の気圧と温度で均衡が取れ
状況が変わらない状態になると思われる。


均衡が取れていれば
メルトダウンは防げるだろう。


しかし水蒸気とともに
放射性物質が飛散するため
冷却システムの修理は
なかなかすすまないだろう。

目標

1気圧で水温が80度以下になれば、
圧力の低いポンプでドバドバ注入できる。


湿度が飽和すれば
自然蒸発もとまるので、
蒸気を逃がす必要もなくなる。


そのためには
http://hayamizuassou.com/pump.html
↑このような超高圧ポンプで注入するか
冷却システムの修理を完了させるか
どちらかが必要だろう。

使用済み燃料プール

燃料種別 ウラン235 ウラン238 プルトニウム
未使用 3〜4% 95% 0%
使用済み 1% 95% 1% 高レベル放射性廃棄物3%

このようになっています。


ウラン235はかなり熱を出しますし、
ウラン238もそれなりに熱を出します。


したがって使用済み核燃料は
未使用の物と比べて50%ぐらいの熱は
出るのではないだろうか?


よって使用済み燃料プールも、
圧力容器と同様に
冷やし続ける必要がある。


しかも圧力容器とちがい
密閉されていないため、
冷却システムの停止は
重大な結果を招くと思われる。


ただし、容器に入っていない分
注入はいろいろな手段をとれると思う。


原発は効率的なのか?

原発の燃料は1,000,000kWの発電所
1年間に消費する燃料は
約30トン。


石炭で同様に1,000,000kWを
1年間発電した場合には、
約200,000トンが必要だ。


したがって燃料の輸送コストは
放射線対策が必要ですが
それでも低いだろう。


しかし30トンのペレットを作るために
約250,000トンのウラン鉱石が必要。
約1万倍の量の鉱石が必要なのである。
これは石炭よりも多い量だ。


例えば20キロの鉱石からは
2グラムの原料が含まれている。
しかし残りの19.998キロにも
ウランは残るし、
低レベル放射性物質のゴミも出る。


これらは地中深くに
埋められなければならないはずだが、
量の少ない使用済み燃料ですら
埋められていない現状で
残土を埋めているわけなどない。


そして鉱石の採掘は
機械などで出来るわけもなく
人間が掘っている。


作業員は放射線対策はしているだろうが
防護服のような強力な装備をしているとは思えない。
発展途上国の採掘場では、
マスク程度しかしていないかもしれない。


このように作業員の命や
鉱山周辺の環境汚染を引き起こし、
我々は電力を使用しているわけである。



原子力発電のしくみ
http://www.enecho.meti.go.jp/genshi-az/atom/knowhow/kind.html

よくわかる原子力
http://www.nuketext.org/index.html

http://plixi.com/p/84187425?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter
http://www.kamo.pos.to/dpoke/c/UW3941.html